バラの香りに包まれながら、徒然なるままに・・・
コロナ騒ぎも終息傾向となり、さてと、あれはいったい何だったのかと、そんなふうに考えてもいいコロナのなかって思うわけです。いろんな人がそれぞれの立場で意見を発信し、当然のことながら玉石混交でありまして、しかしどれもこれも正論。いけませんよねえああいうのって。不謹慎ながら、全員が正論を述べながら全体としておかしなことになってゆく、かつてこういう混乱の流れで戦争に突入したのかもしれないなあと、何度もそう思いました。
まあそれはさて置き、あれからぼくたちは、何かを信じて来れたかなぁ・・・。うちの店が入っているホームセンターの園芸売り場はとうとう一度も閑散とすることなく、花苗を、野菜苗を、芝生を、肥料や培養土を買い求める人で賑わっていました。賛否はあろうと思いますけど、ぼくはその光景をとても好き事として眺めていたんですよね。なぜなら、春なんだから。それとですね、マスクをして、距離を確保しつつも人々に笑顔が絶えることはなかったですから。何が起ころうと笑顔をキープできる人たちの強さを目の当たりにした者の玉石の石として、庭って大事ですよ、ほんとうに。
起こったことは起こったこと。誰のせいでもないし、誰のせいでもあるわけですから、誰も彼もがこのキツかった時間から何を学んで身につけるのか、世界レベルで次の新たな価値観が見えてくる気がして、そういう意味では半年後、1年後の世界がたのしみに感じられます。
で、盛大にバラが咲く庭で、ん、もしかしてだけど、ぼくらが得たものは『スローライフのすゝめ』かも、と閃きました。流行に浮き足立つことなく、限りない欲望に突き進むのではなく、何が大事なのか、何が幸せなのか、そのために何を考え何をすればいいのか、トンネルの出口で今感じているそういうことを忘れないでおこうと、少なくともぼく自身は強めにそうんな気持ちになっています。この際大きく暮らしを仕立て直してスローライフを実践しようかな、などど。そんな心持ちで楽しむ庭がこれからの理想の庭の姿なのかなって。だとしたらそれを自ら出現させてご覧に入れましょう、みたいな変な意欲がふつふつと。
これからいろんなことが変わります。っていうか、変わらざるを得ないわけです。しかしですね、一周回って、変わらなかった事柄にも注目したらいいんじゃないかなあ。家族との愛情関係、仕事への情熱、やさしい気持ち、庭の花、それらを確認しておけば次の変化は必ず良きものとはなるでしょう。
こんな展開になるとは予想もしなかった冬の日に、せっせと肥料を埋めていた後藤さんは、騒動の最中でも変わらず庭に情熱を燃やし、手入れに勤しみました。時々お会いするその都度、相変わらずだなあって、これだよなあって思ったものです。そして楽しみに楽しみに、心待ちにしていたオープンガーデンが中止となっても後藤さんのエネルギーは落ちることなく、庭が放つエネルギーもまた例年と何も変わっていない。
この庭を見ていると、浴びていると、大袈裟ではなく、後藤さんのような情熱を持って生きられたら最高の人生ではないかと、かくありたしと、勇気というか元気というか、エネルギー値がググッと上がるのです。
恒例の相談会を中止したゴールデンウィーク期間中、たくさんの方が、主に園芸の相談に来てくださいました。それと過去に施工したお庭の方々が、電話、メール、ご来店で「庭があって本当の良かった」と、うれしいうれしい言葉を届けてくれて、2020年の春は忘れられない数ヶ月となりました。
スローライフ、言葉が合っているのかわかりませんけど、かつて盛んに言われたロハスとか、田舎暮らしとか、たぶんその辺りに焦点を合わせるといいですよ。家族で過ごす庭のある暮らし、自分を充実させる庭時間、友をまねき語らう庭、土、光、風、季節を感じ取りながら、夜空ノムコウにそんなページが開くといいですね。