ウィズコロナへと向かう道すがら、庭に意識が向いた人には2種類が存在します。半分は幸せな人がその幸せを強化しようとする人で、もう半分がコロナ以前から抱えていた問題が深刻化してヘロヘロになり、何とか倒れずに踏ん張ろうとしている人です。どちらの方にも庭は威力を発揮しますし、それをコーディネートするのが仕事ですから、様々なケースに対して次から次へとアドバイスやアイデアの提供や、実際に庭を仕立て直すことをやり続けた一年でした。いやはやよく働いた。とにかく仕事量が膨大で、しかしひとつひとつのクオリティーは落とせないので、結果、対応は遅れに遅れてしまいまして、中にはお怒りになったり呆れられたりと、残念な出来事も多々ありまして、それがこちらサイドの最大のストレス。それを散歩や庭時間で癒しては気を取り直し、朝にはファイト満々の自分を出現させるという繰り返しで、つまり庭屋の自分自身が庭の威力によって庭の仕事を続けられたというお粗末。これでは病気で薬を飲み続けながら診療を続ける医者みたいだなあと思ったりもしましたが、そのおかげで、改めて庭の効用と、自然と歩調を合わせることの大事さを実感できました。幸せを増幅させるべく丹精してきた庭によって、思いがけず追い込まれたヘロヘロを支えられたわけで、いやあ本当に庭があってよかったです。この間に、以前庭をやらせていただいたたくさんの人たちが、わざわざお礼を言いに来店してくださったことを思い出しまして、それはつまり、皆様が同じような庭に支えられる時間を過ごしたんだなあと、その頑張りの日々で、庭の威力を感じたんだなあと思った次第。そろそろワクチンの目処も立って、世の中が平静を取り戻しつつあるようで、幸せな人がその幸せを強化すべくの相談が増えてきました。これが本来の庭の役目ですし、ぼくとしても気が楽と言いますか、楽しさ100%でやれる仕事ですからありがたし。わけわからないオリンピックの件もあとひと月半も経てば終わるわけで、そうすればまたひとつ、人々からストレスが消えます。ストレス、そう、ストレスが大敵。庭の風にストレスを飛ばして、あと少しの辛抱です。え、庭がストレス?ふふふ、それはやはり世の中が落ち着いてきた証拠なり。混乱している最中には、庭は息を潜めて存在を消しているのでストレスにすらならない。スマホで現状を撮って、早急にご来店ください。秋風が吹く頃ですかねえ、次の大波が押し寄せてくる前に、今ある幸せを強固なものにしておきましょう。