年の瀬メランコリー
12月に入ると日に何度か胸が苦しくなるのです。なりません?なりますよね。イルミネーション、クリスマスソング、おせちや初詣のコマーシャル、刻々と迫ってくる年末年始のイベント事が幸多きものとなりますように。そんな思いを先手を打って、サンタクロースと天照大御神に祈りたい気持ちになるのです。もちろんどう考えてもそうなる、幸いなる年越しができる状況にあるわけなのに、なんですかねえ、クロアチアとのPK戦直前みたいな気分が湧いてきて、もしかして、もしかしたら、みたいな。
師走の花、皇帝ダリア。
今年は台風がなかったので、あちらこちらで天高く咲いています。
いやいや、根拠のない自信ならいいが、根拠なき不安は禁物である。イメージイメージ、イメージできたらできたも同然なり、と自分の尻を叩きつつ払拭できない、胃の辺りが重くなるようなこの不安。とはいえこれは師走の風物詩的症状であって、家族に恵まれ、仕事に恵まれ、健康にも恵まれていることを感謝するトリガー、引き鉄のようなものなのでしょう。あるいはこういうのをトラウマって言うんですかねえ。遠い過去に何度かあった孤独なクリスマス、明石家サンタの鐘の音に泣き笑いした切なさが古傷になっているのかも。
まあいいです。こういう年の瀬メランコリーも込みで、クリスマスまで丁寧に、いち日いち日を積み重ねてまいります。などとつらつら考えながら薄暗いうちに出勤。交差点で停車したら、な、な、なんと、眼前に映画の特集撮影みたいにデカいお月様がポッカリと浮かんでいるではないですか。色はオレンジ。あわててカメラを取り出し信号が変わる前に1枚だけパシャっと撮影できました。
そうだ、今日は今年最後の満月なのだ。月食の夜、楽しかったなあ。いい夏だったし、精一杯仕事ができたし、孫たちは元気に笑いっぱなしだったし、何年振りかの良き一年だった。ふふふのふ、いいぞいいぞ、PK一発目はゴールが決まった。PK戦ってのは半分は運ですからね。この月との遭遇は極めてラッキーである。よっしゃ、浮かれる気持ちを抑えつつ、ウキウキを地に足つけたワクワクに変換しながら、今日も盤石なる幸福な暮らしの舞台にふさわしい庭を、設計設計また設計。全力で、心を込めて思い描きます。