GO-DIE-GO
日照が減り気温が下がると光合成の効率が落ちます。葉っぱの生産性が葉っぱを維持するコスト以下になったら樹木の収支は赤字になるので、そこで行われるリストラが紅葉であり、落葉。業績低迷段階には葉は黄色くなり、葉緑素生産ラインの廃止が決定すると赤くなるのです。
はてさて、葉緑素の量が減り、葉っぱ本来の色(カロチロイド)が目立ってくるのが黄色い状態であることは理解できるものの、リストラ決定となって葉の根元にあるバルブが閉められた時に、なぜ赤い色素のアントシアニンが増えるのかについては諸説ありまして、代表的なものとしては「鮮烈な赤で害虫に警告を発しているのだ」ということが言われますが、どうなんでしょう、あまりに小説的と申しましょうか、これについては科学的な結論とはなっていません。
素人なりにもっと率直に植物を擬人化するならば、あれは老人の断末魔なのだ。悔しさや苦しさを、血を吐く思いで叫んでいるから赤くなるのだ、ともなるような・・・。いかんいかん、どうせ妄想するならもっとロマンティークにして幸福感を伴うように思い描かなければ。そもそも世の中はわからないことだらけでありまして、わからないことを理屈で定義しようとするあまり、言語化し、脳回路内で白黒つけようとしてしまう。大体の事柄は突き詰めてはいけないのです。理屈で突き詰めたら夫婦なんてやってられないし、仕事も嫌になってしまうし、ついに導き出される結論は「生れて、すみません」と太宰治となりにけり。
もの思う秋、その思いはファンタジーの領域にしておきましょう。葉っぱ同様に、日照が減ると心の光合成が鈍ってきて、気が滅入りがちになりますから。その防止にはセロトニンを増やすこと。具体的には早起きをして庭に出るか、散歩に出かけること。外に出て朝日を浴びる。すると目の奥にある視交叉上核の大時計が正常な時刻に調整されて、全身の細胞に存在するという時計遺伝子がそれに従い動き出す。すると幸せホルモンセロトニンが吹き出して朝日に虹をかけるのです。
晩秋なのか、初冬なのか、故郷の母からは「横浜はあったかそうでいいなあ。こっちは山が白くなって毎日寒くて寒くて嫌になるよ」と電話あり。柿を送ってくれたとのこと。ありがたきは故郷から届く声と宅急便。柿食えば、ご〜〜〜んと鐘が鳴るなり法隆寺。今日もひたすらに、冬にく向かってテクテク歩いて行きましょう。歩いて歩いて、めぐる、めぐる季節の中で、あなたは何を見つけるだろう。不思議なもので、歩かされると落とし穴、自ら歩を進めれば必ず素敵な出会いが待っているのだ。てな気持ちを掻き立てて、今日もテクテクと、ロマン溢れる幸福な庭空間を思い描きます。
ゴダイゴというグループ名は GO-DIE-GO 、
行って、死んで、また行く、死んでも進み続けるぞという意味だそうな。
コラム『庭をつくる人』はこちらへ→→→『横浜ガーデンデザイン!幸せな庭のレシピ』