紙を折る・イザナギとイザナミの庭づくり
イザナギとイザナミはたくさんの神を生み出しました。 その中でも三貴子と呼ばれるのが アマテラス、スサノオ、ツクヨミの三姉弟。 アマテラスは自然を、スサノオは精神を象徴しています。 ではツクヨミ(月夜見尊、月読命)は。 その後の物語にほとんど登場してこないこの神は、 きっと夢や希望の神なのではないかと。
オックスフォード大学物理哲学科からの出題です。厚さ0.1 mm のコピー用紙を何回折りたたむと月に到達できるでしょうか。
1回折ると0.1×2で0.2mm、もう1回折ると0.2×2で0.4mm、さらに折ると0.4×2で0.8mm、はてさて月に届くためにはこの計算を延々続ける必要がありそうですよね。ところが数学とは面白いもので、10回で約1m、20回で東京〜富山間の長さとなり、26回で地球一周し、42回で月までの距離38万kmに近い35万kmに、さらにもう1回折れば70万kmになって月をはるかに通り越してしまいます。
では現実的に紙を43回折れるのかというと、それは誰にもできないわけです。夢実現の論理に従って月を目指すか。
ぼくは頼まれもしないのに、その庭が持つ可能性を最大限盛り込んだプランを提示することがあります。その理由は、いろんな制約を度外視して、できない理由を封印して腰が引けない状態で思い描かない限り、間違って夢の世界に到達することはないからです。だから一度思いっきり(紙を43回折るのと違って十分に実現可能な範囲で)描いたのをご覧いただき、イマジネーションを広げてもらってから、さて、そこに含まれているいくつもの魅力のうちどれを優先するのかと現実的に考えていただく、この方法が最もいい結果を生むことを実感しています(よく使われる例え、道に迷いさまよって、気づいたらエベレストの頂上に立っていた、などということは起こらない。目指した者だけがそこへ行けるのだ)。
実はこれが、たくさんの人たちが「いわふちマジック」と称してくれることのタネ明かし。でももうひとつ大事なタネがありまして、この際そいつもお教えすることにいたしましょう。それはですね、「1回折る」ということ。とにかく折り始めなかったら月はただの夜空に浮かぶ模様であり、夢にも希望にもなり得ないですから。
では庭において最初の1回とはなんでしょう。カーテンを開け放って暮らせるようにすること、庭との段差を解消すること、庭にイスとテーブルを置くこと、雑草を抜いた場所に花を植えること、夜の庭の魅力に気づくことなどケースバイケースですが、どれもとても簡単なことばかりです。それができたらもう1回折る。さらにもう1回、もう1回。その作業は楽しく、感動や発見が伴うので夢中になることでしょう。そして紙を折るのと違って、気がついた時にはすでに月に到達しているのです。月を見上げて、まずは一回折ることからすべては始まります。