ダ・ヴィンチを始めとするルネサンスの美術職人たちにとって「美」は科学的現象であり、彼らは心に影響を与えるその得体の知れないエッセンスの正体を解析し数値化する、神の領域に踏み入ろうとする研究に取り憑かれました。その結果得られた神秘の比率が、自然界を支配すると言われているフィボナッチ数列から導き出される1:1.618、黄金比です。職人たちはその比率と遠近法のふたつの「美のカノン(規定)」に従い、次々とカンヴァスに計算された美しさを描いてゆきました。
1:1.618、設計しながこの割合は常に頭にあり、線を引くときの手癖のようになっていて、だからぼくは安定的に自然なバランスの庭を生み出せているのです。