Midlife crisis
近頃、愛猫ミー様子が変でして、と言っても具合が悪いとかではなくて、何か考え事をしている(ような顔をしている)時間が増えたのです。ぼくを追って庭に出ても、以前なら一目散に駆けてパトロールに出かけていたのに、この頃では芝生でじっと動かない。鳥が近づくと鳴き真似をするものの、狩猟の様子は見せずにただ眺めているだけ。
何を思うか雄猫一匹ガキ大将。
ん、もしや、と思い猫の年齢換算表なるものを見てみたところ、ああやっぱり、人間だと42歳、男の厄年。
そういえば、フェンスを越えるのもジャンプではなくはしご登りになりました(犬たちにちょっかい出して逃げる時にはひとっ飛びですが)。
「おお、ミーよ、お前さんもいつの間にやらおっさんになっていたんだなあ。あんなに、手の平に乗るほどちっこかったのに、そうかそうか、中年クライシスに入ったか」と話しかけたら思いっきりカッコつけながら近づいてきて、目の前まできたら少年の声でミャ〜〜〜と長鳴きひとつ。
これはおやつの催促なので、よしよし持ってきてあげるよと、部屋に入って戸棚から出したらすでにミーも戻っていて、食事の指定席で正座。チュ〜ルチュ〜ルチャウチュールを舐め終えたらまた庭へ出て、芝生へ。
犬はいくつになってもわかりやすい行動をとるのに、おっさん猫は何を考えているのか皆目見当つかず。
これは猫だからなのでしょうか、はたまたオスだからなのか、あるいは中年だからか、などと考えていたら、もしや女房から見たぼくも同じ印象なのかもしれないなあと思い当たりまして。たぶん、多分にそうなんでしょうねえ。しかし、だからどうすればいいのかという方向へは思考が行かず、そんなもんでしょ、ぼくにも女房が不可解にして摩訶不思議なのだからこれでアイコだ。サロメよ、ファム・ファタルよ、せいぜい我を訝しがりながら、七つのヴェールを舞うがよかろう、という結論に。
ミーさん、おっさん同士これからもよろしくな。そろそろ泌尿器系の病も心配だが、これもまた、だからどうすればいいのかはわからないので、このままお互いマイペースなままで、日々庭のうつろいを楽しみながら暮らしていこうではないか。
犬たちとは違って話し相手にはなってくれないが、この頃のきみに、話さずとも通じ合う何かを感じておるのだよ。
ミー、ひとつだけお願いがある。悪夢にうなされるので、夜中に顔の上を歩くのだけはやめてほしいのだが。
ああ中年クライシス。人生も夕暮れ時にさしかかればああだこうだと物思うものなり。庭があってよかったなあと思うものなり。
毎夜毎夜、庭の書斎にて徒然なるままに書き綴る。→→→『横浜ガーデンデザイン!幸せな庭のレシピ』