2022年は庭元年かも
明けましておめでとうございます。
昨日は新春恒例、蝋梅の撮影に行ってきました。
もったいないような青空に映える黄色い蝋細工の花は、
今年も頑張るぞって気になります。
さっそくですけど土の話を少々。植物が元気に育つために欠かせないのが健康な土です。どんな土が健康なのかというと、ふかふかしていること。畑の土のように水はけがよく微生物が豊富な土は柔らかで、その土壌になら石灰を使った酸性の中和と化成肥料で、一年中繰り返し、売り物になる立派な野菜や花が育ちます。
水はけは植え付け時に培養土を使えばそれでよし。ガーデニングを楽しむうちに、徐々に広範囲が改良されてゆきます。問題は微生物です。園芸店で微生物を探しても売っていないわけで、それは堆肥の中に住んでいますから、牛糞堆肥などを混ぜ込み、さらにその微生物を増やしてゆくことが必要になります。これは腸内環境と同じで、発酵食品を食べヤクルトを飲むだけでなく、乳酸菌が好む食物繊維を摂り続けることで腸内フローラが整ってゆく。ですから土にも時々発酵食品(堆肥)を追加しなければならないわけで、では腸で言うところの食物繊維は何かというと、枯葉や終わった根っこなど。ここで活躍するのがコンポストです。庭の手入れで出た雑草や葉っぱと、台所から出た生ゴミを混ぜ合わせて発酵させたものを土に混ぜるのが最良の堆肥となります。
ところがこのコンポスト、なかなかイメージ通りの結果が得られない。何日経っても枯れ葉は枯れ葉のままで生ゴミは腐敗して悪臭を放っているというのが大方の結末。これには理由があって、それはですね、入れる前の段取りの不備。
まず生ゴミはいったん、しっかり乾燥させてください。今の時期ならザルか、いらない段ボールに広げて庭に出しておけば半日でカラカラに干からびてくれます。それを草取りで貯めておいた雑草や枯葉と市販の堆肥と少々水を加え、よく混ぜてから入れる。数日で発酵が始まって、湯気を立てるほどほっかほかに温度が上がります。それが収まったらコンポストから出して再度混ぜてから再びコンポストへ。発酵が足らないようだったら小麦粉を混ぜると再びホカホカになります。何度か繰り返せばサラサラでフカフカで、陽だまりの香りがする上質な完熟堆肥の出来上がり。花も野菜も大喜びします。
一年中これを繰り返している庭は一歩入ると土の香りがして、植物がイキイキとしていて、人もイキイキとしている。これは実感。今や古語となったロハスな暮らしが、今年はことに大事な気がします。田舎暮らし的な自然回帰、土を整え、腸を整え、心を整えるスローライフが、アフターコロナには理想的な指針となる気がして。
ところで、発酵と腐敗は科学的には同じことだそうです。でも違いますよね。発酵は人も植物も健康にし、腐敗は悪臭を放って病気を招く。くれぐれも生ゴミはしっかり乾燥させてから使うこと。それと微生物の種である堆肥を入れること。適度な水分と撹拌を繰り返すこと。こういったコツを掴むと、暮らしぶりもそのようになっていって、あ、つまり、生ゴミ的なストレスはカラッと解消させるとか、本やアートや音楽にインスパイアされ、いい感じにウエットな情感を楽しむとか、日々元気に活動をして血流をよくするとか、そうなってゆく。だから堆肥作りを普通にこなすような暮らしが、心を健康にしてくれるのだと思います。
ロハス、スローライフ、せっかく庭があるなら大いに活用し、ガーデニングを楽しみましょう。今年はどう考えても明るい、多くの人にとって飛躍の年になる、としか思えない。長いことしゃがんでいたせいで飛び上がり方を忘れているなら、庭で屈伸運動をして、冬晴れが続く空に向かって思いっきりジャンプしましょう。庭ですよ庭。2022年は、長いことその概念が掴めずに、カーテンを閉め切ったままひたすら雑草取りに追われてきた日本人の、記念すべき庭元年となるかもしれません。庭でテレワークとか、自宅でグランピングとか、そういう流行りごとも含めて、今こそ庭を活用しない手はないのです。
このコンポストの知恵は、園芸好きな田舎の母が昔から実践していること。新年早々にその母から電話があり、いきなり怒涛の愚痴が止まらない。昨年に続いての豪雪の中、少々ボケてきた父を老老介護する苦労話が次から次に飛び出しました。それを聞きながら、なんだかうれしかったのです。いいよいいよ、そうやって愚痴をぶちまければまたカラッとできるから。そういう母ですから。何歳になっても尽きることのない苦労を愚痴りながらも、翌朝には暗いうちからコタツに使う炭を熾し、掃除機をかけ、ラジオ体操をしてから鼻歌まじりで朝食の支度に取り掛かる、これぞ完熟堆肥の威力なり。