庭好き一戸建て
九州出身のお客様から「前略、庭に植えていただいたハナミズキの紅葉に毎年感動しています」というメールを頂戴し、はっとしました。九州は落葉樹が少なく、紅葉をめでるということがないとのこと。故郷を遠く離れて幾星霜、まるで異国にいるかのような感慨に浸るんだそうです。
言われてみればハナミズキ、サクラやケヤキや紅葉劇場大看板のモミジを控えさせ、いの一番の登場です。
舞台の評価はオープニングとエンディング、と申しますが、晩秋の幕開けにふさわしい立役者ですよね。
待ってました!大向こうから声がかかるぞ猿之助。身も心も紅く染め、実も葉っぱ真っ赤に染めての登場に拍手喝采。
そんな風に何気ない木々の変化が心に響く、そのお客様の感覚が素晴らしいなあって思ったのです。 昨日来店されたご婦人は「多肉植物に癒されて、何度も救われて来ました」と話していたし、庭好きの人たちは、何か特別なカテゴリーにいるのかもしれません。特別なカテゴリー、そこは人生の特等席。手にあまり、目に余る状態の庭が多い世の中なれど、ある人たちにとっては、暮らしに庭があることが必須となっている。昭和の御代では憧れだった庭付き一戸建ては、庭好きの方限定の「庭好き一戸建て」と解釈するよな時代がやって来たら、どんなにか住宅地の風景は幸福に輝くであろうかと。
おっと、舞台は中盤へ。ここから立て続けに展開されるスペクタクルを見逃してなるものか。團十郎、菊五郎、勘三郎に追いつけ追い越せ六代目韋駄天勘九郎、ケレンを売りにする名人達者が居並ぶ梨園で、やはり猿翁・猿之助、宙乗り・本水・早替り、大団円へと一気に展開してゆくスーパー歌舞伎秋劇場の第一幕でありました。
ガーデンコラムはこちらへ→→→『横浜ガーデンデザイン!幸せな庭のレシピ/庭をつくる人』