思い出せますでしょうか、昨年の梅雨のこと。一昨年に引き続きとてもよく降りました。昨年はひと月半ほどほぼ毎日シトシトと降り続き、現場は完全ストップで、施工が伴う仕事なもんですから会社的には大打撃。しかし世の中全般見渡す限り、コロナによって引き起こされたもっと手厳しい打撃に耐えていたので、嘆きもぼやきも浮かばぬままに晴耕雨読の雨読雨読で設計に集中していたのです。
さて、今年の梅雨はどうでしょう。観測史上初の早い梅雨入り予測で始まり、転じて実際は記録的な遅い梅雨入りとなり、そんな年には梅雨明けが遅くなるしゲリラ豪雨が・・・と、最初はコロナのパンデミックと同じトーンで警告していた気象予報士各位も、湿気はあるもののにわか雨程度で晴れ間が多い天候に、だんだんトーンが低く穏やかに、サックスなどの管楽器における減音奏法(ユートを装着したり、息をリードを振動させる最低限まで抑える吹き方)。オリンピックに反対する芸能人及び評論家諸氏も、政府の論を外した、つまり論外のゴリ押し開催に、たまらず減音奏法。どうなるんでしょうかねえと雨音に問えばしとしとしとしとと、死と使徒とのせめぎ合いが果てしなく続くのでありました。
などと、雨の日と金曜日には雨の人がもの思う。減音奏法ってのはなかなか良いものでありまして、奏者の息づかいが聞きとれるわけで、ここはひとつじっくりと、相も変わらず、愛も変わらず本当の音、つまり本音を奏でる賢者の声に耳をすまして過ごしましょう。え、賢者って誰のこと?それはですね、野菜を育て、花咲かせ、日々庭を楽しんでいる人たちのこと。ひと言ひと言に重みがある人も、基本軽やかで時々しか話さない人も、私生活にて庭で練習を重ねている減音奏法からは愛ある情熱、つまり愛情を感じるのであります。