まあいいんですけど、これはこれで。おかげで、互いに普通の知性・常識を備えた夫婦であれば賢く回避するであろう種類の恐怖、疲労、時に支え合わずとも立っていられるために不可欠な孤独感、等への耐性が身につきました。そして結果的にはいつも彼女が有する並外れた様々な能力によって騒動は終結し、その後には大きな安堵と、もっと大きな感動を得ることができたのですから、総括としては「苦あれば楽あり」、という辺りで手を打たざるを得ない。こんな夫婦も、あっていいんじゃないかしら、と自分を慰めたり褒めたり。そうこうしているうちに、気づけば茫然自失、共に還暦過ぎたアホ夫婦となりにけり。
なんだかなあ〜、気が早い仲間は極楽浄土に行ってしまうことが増えまして、越し方を振り返る機会が多くなったこの歳になり、ようやく女房のことを、なんてイイ女と巡り会えたものかと、己が凶運を強運と解釈できるようになった次第。歳はとってみるもんですなあ。それと、初詣で手を合わせる瞬間の厳かさで、神父様の前で誓った、およそ自信など持てるわけもないあの表面的に過ぎる言葉に従い、夫婦は添い遂げてみるもんですよ。お若い方々、ご主人方、愛おしき奥様も、ぼくの見解では十中八九は鬼と化す。そこから夫婦道の修行が始まるのだ。夫婦がやがて、社会のために闘う最愛の戦友同士となるために、家庭において我慢は美徳ですぞ。いや〜、いやはや〜、今回もめでたしめでたし。
「もっと穏やかに、平らな気持ちで暮らせないんですか?」などとたしなめたところで、加齢によるものなのかツノと化した彼女の耳に届くわけもなし。さあ、次は何をおっ始めるのやら。