ガーデンリビング(藤沢市 柄沢)その1
家族で過ごす外の部屋。
荒武さんのお宅は南リビングで、ツゲの生垣と芝生の庭でした。とてもよく手入れされていて、しっかり育った生垣によってカーテンは開けて暮らすことができます。
手入れの様子からも、ご夫婦がとても真面目にといいますか、真摯にといいますか、暮らしを丁寧に組み立てているんだなあということが伝わってきました。
奥様からのご要望は漠然と「もっと楽しい庭にしたい」というもの。楽しい庭、楽しい庭、楽しい庭・・・いくらでも庭の楽しさは提案できます。そのたくさんの引き出しの中から「家族で過ごす外の部屋」を引っ張り出して、スケッチブックにささっと描いたら「それですそれ、そういう庭がいいんです」となりまして、このようなプランとなりました。
Plan A
生垣はそのままにし、濡れ縁からの階段で部屋と庭をつなぎ、過ごすスペースはΦ3メートルの円を描いて明確にしておいて、コーナーパーゴラと樹木で立体感を出しました。寝っ転がれるベンチと照明器具はいつもの通り、緑に包まれて過ごす「別荘の庭」みたいな構成です。
Plan B
こちらは階段で出るようにし、庭のフリースペースを広くしました。生垣を一部取ってレンガ塀で囲むことでAよりも部屋感が増してます。さらに奥様からのアイデアで、水音と光の揺らめきを楽しむ池も設置。近頃ようやく認知され人気が出てきた「ガーデンリビング」です。
これをもとに検討していただき、Bをベースにして出来上がったのが次の Plan C 。
Plan C
こうして最初はお客様の中に漠然としていた「もっと楽しく」が、プランを重ねることで具体的になってゆく過程が、ガーデンデザイナーという仕事の大きな楽しみです。
ではビフォーアフターを。
道路から庭の中へと進みます。
ガーデンリビング、アウトドアリビング、外の部屋、呼び名はいろいろなれど「庭を暮らしの場所」にするというイマジネーションの引き出しを開けることで、そこは「手入れの場所」から何倍も価値を持つ「生活空間」へと変貌するのです。