バラ香る前に咲く、ライムの花に酔う。
わが家の庭はゴージャスゴールデンウィーク。ライムの魅惑的な香りは、熟したブドウを口いっぱいにほうばってファンタグレープで喉に流し込んだような、そこにディオールのプアゾンとかイランイランの精油とか、怪しい系のを混ぜたような、音楽で例えるならばミルト・ジャクソンが奏でるヴィブラフォン。
この香り、夜の方が断然強いんですよ。それには理由がありまして、春爛漫、百花繚乱のこの時期には日中の色鮮やかな花に群がる花蜂の来店が見込めないため、夜間営業で、暗闇に強烈な香りを漂わせ、夜な夜な街に繰り出す甲虫類なんかを当てにしているのです。だから花は地味目で、でも闇夜に目立つ白い色。
営業自粛?そんなのカンケーネーとばかりに放たれる甘く危険な香りに酔いながら、昨夜はサッシを開けっぱなしで、室内までその芳香を流し込んで寝ました。
ライム、なかなかいいですよ。果実は毎年20個ほど収穫していますし、なんと言っても花の香りの魅力は月下美人に匹敵します。
ステイホームという新たなお作法にも皆様賢く適応し、芝生を補修、野菜苗の土づくり、春の植替えと、庭仕事を楽しんでらっしゃるご様子。なあに、バラは元気に咲き出したし、その次は梅雨。高温多湿で奴らもおとなしくなることでしょう。それまで、せいぜい庭を充実させましょう。